悠久の片隅

日々の記録

気の毒だなー。

新装版 歴史の交差路にて 日本・中国・朝鮮 (講談社文庫)/司馬 遼太郎

¥691
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読了。

最初にこの本を開いた時、朝鮮半島のことをまったく知らず、

何を語っているのか理解できず、読むことをあきらめた。

なので、一念発起!

朝鮮半島の歴史』を読んで、再度この本に挑んだ。

1日で読了。読めなかったものが読めるというのはうれしいね~

今でも半分くらいしか理解出来てないけど(笑)

それでもどんな話しも楽しくて楽しくて♪

在日朝鮮人金達寿氏、在日中国人の陳舜臣氏、在日日本人の司馬遼太郎氏の三者による

日本中国朝鮮の歴史文化を考察。

という堅苦しいものでなく、おじさんたちの雑談(笑)

『古代から歴史的にみると、朝鮮は中国と日本とにはさまれて今までずいぶんとひどいめにあってきたのですが、今日はその日・中の両碩学(セキガク)にはさまれて、ぼくはひどいめにあうんじゃないかと覚悟してきたんです(笑)』

少しだけ年長の金氏がこう切り出して、対談は始まる。

金氏が1919年生まれ、司馬氏が1923年、陳氏が1924年

中国人、朝鮮人、日本人が胸襟開いて語り合えるというのは、素敵です。

政府間、歴史感情はややこしいけど、

目の前にいる個人とはまったく別の次元でお付き合いができる。

そんなところから、いずれ国を変える原動が生まれるのかも。

もう朝鮮半島飽きたーって思っていたけど、もっと知りたくなる。

この本を読んで新たに感じたこともあるし。

ひとには、民族主義というのがつきものだ。

米原真理の『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の中で、

内戦が続くベネズエラから来た少年ホセが

「帰国したら、父ともども僕らは銃殺されるかもしれない。それでも帰りたい。」ともらす。

3か月後、プラハを引き上げでいったホセとホセの家族が処刑されたとのニュースが届いた。

たとえ、どんな祖国でも誰にとっても祖国は特別なもの。

祖国を愛する気持ちは誰の胸にも宿っている。

そして、

自分たちの民族が主体となり、自分たちこそが至上であると。

そんな民族主義愛国主義、至上主義に罪はないが、

自分たちの主義を押し通すことで起きる摩擦や悲劇を知っている者は、自分たちへの肯定もするが、否定もする。

たとえどれだけ人間(民族)が優秀であろうと、人間(民族)は間違えを犯すものだと。

民族主義は人として当然あっても、同等に自己反省もあってしかるべし。

それを日本人は自虐と感じることもあるけれど、自己否定は自己肯定と共に必要と思う。

日清日露、どちらにしても、

朝鮮半島は日本、中国、ロシアのかけひきに使われ、

日本の保護下に置かれることとなる。

高宗は保護条約の無効を万国平和会議に訴えようと密使を送ったが、大韓帝国の外交権が日本にあることで参加を拒否される。

事の次第を知った日本側はこれを口実に、大韓帝国の外交権だけでなく内政権をも日本の統括とした。

そうして韓国の主権は形骸化し、日韓併合となる。

日本人なら密使は、会議場前で切腹すると思う。

武士なら腹を切って、自分のはらわた掴みだして投げつける勢いではなかろうか。

国の存続がかかっているのだから、生きて帰ることなど出来ない。

私にはわからないけど、

帝国となるか植民地となるか。そんな時代には、日本のこの不平等な条約を合法といえたのだろうか。

世界のどこかの誰かが、憐れむ気持ちはなかったのだろうか。

万国平和会議といったところで、出席は帝国側のみであろうし、ことはアジアの弱小国。

かかわっても何の得にもならない。が、正直なところでしょ。

日本もどうかと思うけど、これがその時代の常識で感覚であったということなのだと思う。

もし、ここで1つでも覆っていたら、

私は今頃中国語を話していたか、ロシア語を話していたか、そもそも存在もしないか。

やらなければ、やられてしまう。

攻めるほかなかったというのが、日本の立ち位置だったのだろうけど。

世界の覇権争いの中で、大韓帝国はまさに八方塞がりにみえる。

日清戦争では、日本にも清国にも手を引いてくれと頼んだのに、朝鮮の地で戦争勃発してしまうし。

日露戦争では、中立宣言をしていたのに、武力で日本の補給基地にされてしまう。

大韓帝国はいったいどうすればこの難から逃れることが出来たのか。

弱小国の運命だとあきらめて、日本にくだるほかなかったんかな。

清が・・・本来は清がなんとしてでも守ってあげなきゃいけない立場だったのに、

清もそれどころか、日露戦争は清の領土でやっているし、

戦後処理は、日本とロシアで清の領土を取り合っているし、清はもう勝手にやってくれ!な感じで。

取ったもん勝ちが当時の国際ルールだったのね。

まだまだ野蛮な時代。紀元前と変わりない。そういうことなんだろうなーと、溜息ついています。