悠久の片隅

日々の記録

<a href="http://ameblo.jp/fujiko-diary/entry-10601111911.html">昔の恋人</a>

昔の恋人 (集英社文庫)/藤堂 志津子

¥520
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久しぶりに恋愛小説。

初めてこの著者の作品を読んだけど

他の恋愛小説、恋愛小説作家とは、一線を画す。

すごいや。

直木賞受賞作家だからすごいに決まってるけど

でもやっぱり、すごいや。

恋愛って、

自分の心の中のことであるのに、

何が起こってるかよくわからない。

だいたい、

この男のどこが好きなのか。

なんでこんなに好きなのか。

そもそも、

好きってなんなのか。

いまだにわからない。

恋をしちゃうと

わからないことばっかり。

自分の心なんだけど、

理屈じゃなく、計算外の化学反応に自分がついていけなくなる。

この本の中の『浮き世』という話。

主人公35歳バツイチOLが男のことで、いい気になる話。

多分一番地味な話だと思うけど一番好きだ。

最近思うのだけど、

本を読んで感動するとこは、あらすじじゃない。

話はどーでもいい。

どーにでも作れるじゃん。

それはあくまで装飾品。

感動するのは本質のとこ。

その表現の仕方と言うか

言葉の面白さとか

結局、著者の内面だよね。

なんでこの人は、こんな風に伝えられるのだろう。

どんな体験、どんな本を読むと、こんな風にモノを見れるのだろう。

まず作者のことを遮二無二知りたくなる。

映画やTVドラマで脚本家や監督に興味をもつことはあまりないけど、

本は

役者がいない分

ストレートに、書いた人間に関心がいく。

食べ物や海の塩の加減で魚は色が変わる。

人間も経験で大いに変わると思う。

どんなことを負って、どんな勉強を積むと、そんな深い人間になれるのかそこに一番興味がある。

この本はすべて恋愛をベースに話は書いてるけど、

伝わってくるものは恋愛じゃなく、人間。

人間をえぐってる。

面白かった。