悠久の片隅

日々の記録

白虎隊

ゆうべのTV『白虎隊』は、今の時代に訴えるものが多く実りある時間だった。

主役の北大路欣也の役者ぶりに、うならせられっぱなし。

海外の映画をみて、俳優さんの演技力に圧倒されるけど、

北大路欣也は負けてない。

時代劇には、こんな役者さんがいるんだなー。

時代劇をみると、

日本人はついこの間まで武士だったことを感じさせられる。

武士が今の日本人になった。

150年前のアメリカ人と、今のアメリカ人の違いの何百倍もの変換じゃないかな。

特に儒学が入って以降かな、江戸の武士の文武両道は世界に比類なき美しさに思う。

もちろん、私は過去の良い部分ばかりが見ているだけかもしれないけれど。

宗教をもたない日本人にとって、武士とは心の拠り所だったんじゃないかな。

生きる道筋。

たった150年ほどで、日本人はこんなにも変わってしまったのかと思うと、

そりゃ思考も混乱するわ。

現代人は、簡単に言ってしまえば、

身体の奥底に宿る武士として不条理の中を生きるか、

新たに上書きしながら合理的に生きるか、

その狭間を彷徨っているように思う。

現代に明治維新のヒーローを求める声があるけど、

明治維新は、維新のヒーローで成し遂げたものじゃない。

それ以外の場所で、多くの血を流し、

そして明治になって試行錯誤の20年という年月をかけてようやく明治憲法が制定され、新しい国の形が出来た。

明治維新は、確かにすごい。

でも、ヒーローがいれば、即、国が変わるなんて、歴史認識の甘さに思う。


今住んでいる土地は、ほとんどの人が長くても3、4世代前くらいからかな。

なんで、こんなに人は移動していっちゃうのかしら。

昔は、それこそ先祖代々何百年の土地だから、土地に対する思い入れも深く、

土地と人との結びつきは今では考えられないものだったと思う。命をかけて守るもの。

会津藩が賊軍とは、本当に世の中は不条理で、

世の中の不条理など、人ひとりの力ではどうにもならない。

それでも自分のイデオロギーだけは守り生きていく、それ以外何もない。

結果として何も守れなかったとしても、

生きるとは自分のイデオロギーと対峙することだと、このドラマの主人公西郷頼母を見て思った。

「ならぬことはならぬ」のセリフが心に残ってる。

こういう骨のある時代劇は、今の世の中に訴えてるものが散りばめられている。

会津藩が命をかけて守ろうとした会津の地、

今の福島の現状と合わせて考えると、いたたまれない思いがある。

私が飯盛山に行ったのはもう25年くらい前かな。

もし携帯電話があれば、白虎隊は飯盛山であんな悲惨なことにはならなかったと考えるのは

見当違いも甚だしいけど、

それでも今の携帯電話の氾濫をみると、

今の時代を彼らには、見せられないように思う。