悠久の片隅

日々の記録

南北争乱

現代語で読む太平記 (集英社文庫)

現代語で読む太平記 (集英社文庫)

足利尊氏の本は読んだことあると思っていたのだけど、無いや・・・

このキャラは記憶ない。

個性の強い武将たちの中で、足利尊氏は少し埋もれた存在。

派手なパフォーマンスは無いとしても、この人はこの人で面白いなー。

自分が朝敵になってしまうとわかった途端

「朝敵なんていやだ!出家する!」と言って髪を切ってしまい家中を困らせるところなんて、

慶喜にも似てる。

でも結局、家来たちは尊氏をだまして立ち上がらせ、京攻めにゆくことになる。

そこが慶喜とは決定的に違ってしまうのだけど。

腐っても鯛じゃないけど、

腐っても隊、

尊氏が立ち上がれば敗戦ムードでグダグダになっていた鎌倉30万騎が馳せ参じた。

そして大将の尊氏が髪を短くしてしまったものだから、鎌倉武士30万騎も揃って髪を短くした。

みんなが髪を落とす姿思い浮かべると壮観だな。

後醍醐天皇が政権の論功行賞、恩賞の不味さは今の時代に通じる。

恩賞奉行が取り決めするはずが、

たいした働きのない者でも直接天皇におねだりして、それをまた天皇がハイハイって聞いて、

恩賞奉行を通さずにお金が出ていってしまう。

これでは不平不満が出て、国が乱れて当然。

今の日本もお財布は大蔵省が握っているはず。

いや、昔は大蔵省が握っていた。

お金は大蔵省を通さないと出てこない。だったのに、

いつからか、大蔵省の許可がいらないでも各省庁にお金を融通できるシステムが出来てしまった・・・

出来てしまったじゃないや。天災じゃないから。作ってしまった。

田中角栄あたりかしらん。

だからお金がダダモレになる。

その朝廷のやり方に納得がゆかず、足利尊氏が立ち上がった。

そこから50年余り、ずっと戦いっぱなし。

なんというか、

世の中は、性質というか空気みたいな、なんだかわからないものに、取り込まれているような気がする。

この時は、人間2人いたら、もうどっちが勝ちか戦って決めなきゃいけないような、

日本中が喧騒に包まれている。

太平記の著者もまとめようがなかったと思う。この時代。

天皇家が南北2派に分かれると、日本中が、親と子でも、兄と弟でも、ここまで対立してしまうものかと、

空気がおかしい・・・・・

人間が入り乱れて争い続けた50年・・・

なんだったんだろう。

頭で考えてもわからなくて、その時その場にいなければわからない空気なのだと思う。

そういうことって、あるんじゃないかな。