悠久の片隅

日々の記録

歴史物語 朝鮮半島

『武神』を見終えた。

時代は高麗(日本は鎌倉時代)、奴婢という最下層の身分の者が最高権力者へと上りつめる物語。

サクセスストーリーというには、あまりに苦しく悲しい。

1つ階段を上るごとに苦しみが増して、

それは頭上に中国、モンゴルといった大国を載く国の悲劇でもあるのだけど。

今、『歴史物語 朝鮮半島』を読んでいます。

その中で、

ドラマでは極悪非道の権力者として描かれている崔沆(チェハン)が、

実際は、親の跡を継ぎ、君主を助け、国難を制しながら、大蔵経板に私財を施し

作業を監督して完成し、中外が服を受けた。とあった。

ドラマと真逆な人物像!

崔沆(チェハン)が非道過ぎて、みることが出来なくなってしまっていたので、

実際にはそういう人でないことに救われる思い。

ドラマ上、主人公を良く描くために必要な演出ってことでしょうね。

作り話と思えば、少しは心穏やかでいられます。

時の権力者が2代にわたって私財を投じて大蔵経(仏教の経典の集大成)を完成させた。

何年も続く干ばつ、モンゴルとの40年戦争で民が辛苦を味わう中、

無理を押して仏教の一大事業を起こしたのは、仏教が人々の心のよりどころであったから。

仏教の力でモルゴンを討ち払いたいという強い願い。

苦しい時にこそすがるものが必要。

仏教を重んじることが、次第に行き過ぎた仏教崇拝になってゆく。

なんでもそうですけど、

国が特権を与えたり、優遇や保護を与えると、新たな問題を生む。

高麗時代の寺院は、税金の免除、僧侶の国役免除、そして寺院の利権を守るための憎兵を抱えていた。

そして、国家が仏教に肩入れし癒着が起こる。

崔承老(チェスンノ)が戒めます。

「仏教を行うのは修身の元で、儒教を行なうのは治国の源。

修身は来世のためであり、治国は今日の務めです。

今日は近く、来世は遠いのに、近きを捨てて遠きを求めるのは過ちではないか。」

来世的な仏教より、現世的な儒教を優先すべきではないかと。

高麗が滅亡し、次の李氏朝鮮王朝の国家理念が『崇儒排仏』に変ってゆくのは、

仏教の堕落と弊害という背景があった。

この本に華厳経の『三界唯心』というのがあります。

自分の心の外に三界(俗界、色界、無色界)は無い。

この世は自分の心にあるものがすべてで、

目に見えるもの、在るもしくは無いと認識しているもの、

この世のすべてのものは、自分の心を映し出したものである。

これだと唯心論・・・かな。

まぁなんでもよいのですけど、

宗教って、

どんな宗教にもいえるけど、

ご都合主義だなーと。

だから宗教なのでしょうけど。

ひとびとのすがりつきたい(救われたい)心が生み出したのが神であったり仏であったり、

キリスト教だのイスラム教だの仏教だのと、バラバラに存在するのも、

それぞれの心の目で見ているからその人により違う。

心の目が違えば、同じ風景を見ても違うものが映る。

だから、

見える人には見えるし、見えない人には見えない。いる人にはいるし、いない人にはいない。

心で見るから、

愛がある時と、愛が冷めた時では、相手をまったく別人のように感じてしまうのでしょうね。

相手は相手で、同じなのに。

李氏朝鮮王朝の時代、集賢殿というものがあった。

『前途有望な若い集賢殿学士には、実務から離れて山寺に入り、官給によって

賜暇(休暇をとらせる)読書をさせたことである。

しかもその読書の範囲は儒教一辺倒ではなく諸子百家から天文、地理、医薬、ト筮に

至るまで自由にさせた。

世宗代の文化事業経書および史書の編纂はもちろん礼楽、音韻学、農学、医薬、

天文、地理から兵法に至るまで、経世済民のための実用の学問を総網羅できたのは、

集賢殿における多彩な人材養成に負うところが大きい。』

その一つが、ハングルの制定である。

漢文を習得できない庶民にも短期間に習いやすい28文字(制定当初)を制定し、

文章で自分の意思を表現できるようにした。

その為、特権階級は漢文、庶民はハングルというコミニュケーションの断絶が起こった。

中華思想が思わぬ弊害になったのでしょうね。

中国が偉いから漢字は偉くて、ハングルは偉くない。

漢字が書ける自分は偉く、ハングル使う庶民は偉くない。

そんなバカなと思うことが、思想上では当たり前にあったりした。

19世紀になって、ハングルを国文とした。

歴史物語 朝鮮半島 (朝日選書)/姜 在彦

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朝鮮半島の通史で(私にとって)お手頃な本って案外少ない。

韓国への『主観』の強い本は数多くあるのだけど、なるべくまっさらなものが読みたくて。

それにしても、

地名や名前の読みずらいこと。聞きなれない韓国語の発音に少しも慣れない。

誰にでもわかるようにとっても優しく書いてあると思うのです。

それでも私には難しくて理解出来るわけではないけど、

苦い薬と思って、飲み込めないものを無理矢理飲み込んでいるところです。

全く知らなかった朝鮮半島の歴史の、全体的な雰囲気だけでも味わえたらいい。

ハードル高過ぎるので、それで充分。

今の韓国については、興味はないなー。今の日本も興味ないけど(笑)

今、李氏朝鮮前期(秀吉の侵略まで)読みました。

う~~~大変だけどあと半分がんばろう!