悠久の片隅

日々の記録

<a href="http://ameblo.jp/fujiko-diary/entry-10641039537.html">舞姫②</a>

鴎外の「舞姫」 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 近代文学編)/著者不明

¥620
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横浜で見つけた本。

ビギナーズ・クラシックス

初心者が読む古典の手引書になってます。

まず、ページをめくると、舞姫という作品について

和漢折衷の格調高い文語体です。

名文ですが、今の貧弱な国語力では簡単には読みこなせません。

とあります。

貧弱でスイマセン(笑)

学者先生がそう言ってるんだから、やはり高校生にも難解と思う。

この本は、

原文と通釈文、ルビも今の仮名遣いでふってあります。

そして

当時のドイツ、日本の時代背景、物語の舞台の地図、

鴎外が暮らしたドイツの部屋の写真、絵や図と共に載せてあります。

そうだよ。

文を読んでもその描写がまったく頭に浮かばないから、読んでもわけがわかんないのよ。

真っ暗闇の中では、いっくら目を凝らしても見えないものは見えない。

鴎外がどういう人生で

何を見てこの作品を書いたのか、

その頃のドイツがどんなだったかを

こうして少しでも手を引いてもらえれば、

ほんの少し明かりを灯してくれたら、私はゆっくりでも歩いて行ける。

学校の先生も、

ただ読みなさいじゃなくて、

手を引いてあげたら良かったのに。先生なら幾らでも出来るはずなのに。

ひとりで読んでいた時には

古語辞典、漢和中辞典とにらめっこしながらでも

この人何言っちゃってるんだろうなーだったのですが、

この通釈文を読むと

ガラっと印象が変わった。

ガラガラガラーっと音を立てるくらい変わった。

とにかく

すごい。

書いてある文字は五文字でも

その中は百文字くらいの描写になっている。

要するに

俳句や短歌みたいなもので、

これじゃ、書いてあることをそのまま読み取る能力しかない私には無理なわけで。

私は、鴎外の小説は今までぶっきら棒だと受け取っていたけど、

そこに体温が実は入ってた。

冷たい石炭にも熱いものが流れていた。

ふぅむ・・・・・

鴎外の作品は賛否両論。

受け取る側にその力が無ければ伝わってこない。

万人を感動させられるものを書くべきなのか

ソレトモ

自分の信念で書くべきなのか

一つ思うことは、

本でも映画でもつまらないより、面白く感じられた方がずっとお徳ということ。

せっかく時間費やして、お金費やして、つまらないという感想だけでは、

それこそ無駄につまらない。

舞姫も前は、チラっと眺めてつまらなそうと横を向いてしまった。

その時の私と今と能力は変わってるはずがない。

読む力が無い以前に、

読もうとする力が無かった。

自分に気が無かったばかりに、美しいものの良さに気付かず

つまらないもの。必要の無いもの。と自分自身で決め付けてた。

自分を侮ってはいけないんだなー。

懐さえ広くもてば

もっともっと

もっともっと

色んな楽しみ、感動と出会える。

石炭であきらめちゃいけない。

いや、あきらめることもしょっちゅうだけど、

本当に大切なことならば、又こうして出会える。

でも・・・・・・・

こうしてこの本を読んで感じたことは、

どんなにそれで感動したとしても

『鴎外の舞姫』であって、もう『鴎外の舞姫』では無いのです。

私には、

もう『黒い点』は見えないような気がします。