悠久の片隅

日々の記録

<a href="http://ameblo.jp/fujiko-diary/entry-11194352473.html">邂逅</a>

邂逅の森 (文春文庫)/熊谷 達也

¥750
Amazon.co.jp

購入したのは3年くらい前。

初っ端とっつきが、ちょっとかったるかったのと、

500Pにもなる本の厚さに

少し余裕が出来てから読もうと思ってたら3年たっちゃったヾ( ̄0 ̄;ノ

ようやくページを手繰り出したと思ったら

作品の勢いに押されるように、2日で読み上げてしまった。

東北の山奥の村には『マタギ』といって、

数人から数十人の徒党を組んで、

冬~春にかけて獣(クマやニホンカモシカなどなど)を獲って生活する人たちがいた。

その『マタギ』の物語です。

この本が直木賞山本周五郎賞をダブル受賞したとかは、もう関係無く、

この本さえ関係無いかもしれない、

私は『マタギ』の神聖さに、魂持ってかれた。

マタギ』には厳しい掟やシキタリがあり、

それは

東北山奥の雪深さという過酷な条件での狩猟だからこその

命を守る為

生きていく為に絶対的なモノ、己に対する鍛錬のような意味合いだったと思う

山では『山(マタギ)言葉』だけしか使ってはいけない。

そして、その言葉は里では使ってはいけない。

女性の話など、山ではしてはいけないことが幾つもある。

山は彼らにとって聖域。

山に入る前には水垢離で身体を清める。

途中行動に間違いがあれば、再び水垢離から始める。

獲物は山の神様からの授かりもの。生きていく為に必要な分だけしか獲ってはならない。

リーダーの絶対的権限の元、皆それぞれの役を担って獲物に挑む。

この物語の中で

主人公の富治が、初めてマタギに参加する場面がある。

張り切って挑んだものの

何も出来ず、オロオロしているうちに仲間がクマ捕獲成功!

その時リーダーが富治に言う。

「初マタギ、お手柄でありすた」

なんの役にも立たず、肩身の狭い思いをしている一番の下っ端に対してでも

心からの労いの言葉をかける。

この本のなかで、一番好きなセリフです。

東北の言葉、優しいしょぼん

富治も胸いっぱいになったと思うけど、

私も胸が熱くなる。

そして

獲った獲物は、皆で平等に分ける。

手柄も何も関係無い。

信頼無くしてはあり得ない世界。

物語でなく、

現実にこんな世界があったことに、たまらない感動をおぼえる。

山の地形、気候を熟知し、

獣の生態を獣以上に知り尽くし、

自然と一体になり

仲間を信頼し

山の神を絶対のものとして生きる。

絶対的権力者が

一番の強さとそれ以上の思いやりを持つ世界。

彼らにとって、食べ物(生きていくこと)は

獣を殺すことで、

それは自然から授かったもの。そうして自分達は生かされてる。

自然に逆らっては生きてはいけないという思いがすべてなのだと思う。

私にとって、食べ物は

お金を出すもので、

自然に対する感謝も、獣達に対する感情も、形の上ではわかっていても、つい忘れてしまっているしょぼん

東北にこんな凄い文化があったこと知らなかった。

世界見たって

こんな美しい文化はそうそうは、無いと思う。

これはね、

『風土から生まれた文化』として伝えていかないといけないね。

時代と共に文化が形を変えてしまうのも、仕方のないこと。

マタギ』が、すたれてしまったのも

結局、思いやりの世界だけでは生きていけなかった現実があるのだと思うけど、

その『思い』だけは、すたれさせてはいけない。

マタギ』に思いを馳せながら

今の東北の現状を考えてしまう。

日本人同士、今助け合わないで、いつ助け合うんだろう。

何かをしたい気持ちはある。

1年立った今も、心は東北に向いてはいても

私自身何も出来てない現実。

自発的にはなかなか難しくて、

指示系統さえあれば、司令塔さえシッカリしてくれたら、

もっと何か出来るんじゃないかと思う。

私に出来ること。

東北のものをより積極的に買いたい。

東北に少しでもお金を落とし、活性化が進んだらいいなと思う。

瓦礫は、

着払いで日本全県に送ってしまえ・・・とさえ、思う。

マタギ』のように、

日本を思いやりで溢れる国にしたい。

『邂逅』とは、思いがけなく出あうこと。 偶然の出あい。めぐりあい。

私にとって

この『邂逅の森』が邂逅だった。

ヒラ積みになってるのを、何気に手にした。

出会えて良かったと心から思える1冊。

この作品の良さは『東北の言葉』だと思う。

セリフが生き生きしてる。

登場人物が生き生きしてる。

小説じゃなく、本当にここにいるみたいに感じるニコニコ

いつかこの小説の舞台秋田『阿仁マタギ』に行くど!

小説読んで、久しぶりにトキメキを感じましたラブラブ!

もう1回、この小説を文学とし文字を大切に読み直してきま~すニコニコ

そして

主人公と一緒にクマ狩ってくるグッド!