悠久の片隅

日々の記録

蝉しぐれ

ここ何年か、季節が前倒しになっているように感じる。

昨日関東も梅雨入り。

でもこの物憂い空に気が休まる。

燦々とした陽光は、こちらもそれなりのテンションを要求されるけど、

しっとりとした庭は、色も音も1トーン低くて落ち着く。

今日はお洗濯も布団干しも草むしりも掃き掃除も無し。

ゆっくり庭を眺めながらお茶を飲む、

こんな時間が好きで毎日頑張ってるのかもしれない。


蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)

映画、テレビドラマ、演劇にもなっている時代小説、

500頁近くあったけど、面白くて一気に読んでしまった。

時代小説らしくないというか、

気負いのなさがいい。

登場人物の感情と併せた自然の織り込み方もごくごく自然で、

映像にした時どうなったのか、映画もみてみたいです。


文四郎は刀を渡し、上がり框(がまち)に腰をおろして、用意してある濯(すすぎ)の水を使った。

せつの心遣いで湯をまぜた水はぬるく、足を洗うと疲れが取れるようだった。

束の間の平安という言葉が、また文四郎の胸にうかんで来た。

こんな何気ないシーンが、美しくて、優しくて。

上がり框も盥(たらい)も、今は無き風景で、

日本人はとても大切なもの、どこかに置いてきてしまっていること、無性に残念に思います。

日々の生活の中で失ってしまった歴史が、ここにある。


時代小説に、

お家騒動、剣豪勝負、友情、恋愛、青春、と、色々詰め込んであるので

1つ1つの浅さは否めないとしても、その為息もつかせぬ展開に一気に読まされちゃいました。

面白かった~

さーてーとー、

明日からお掃除がんばろっと。

時代小説読むと、

身を正したくなる(笑)

磨き抜かれたもの、鍛え抜かれたもの、時代小説の中の清貧は日本の美学。

身の回りに凛とした美しさを気負わず身につけられたらいいな。