悠久の片隅

日々の記録

秘密

秘密 小池真理子対談集 (講談社文庫)/小池 真理子

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大好きな小池真理子

小池真理子の小説が好き。

女性の心理は、やはり女性にしか描けないと思う。逆もそうだけど。

女性同士すぐ理解できる部分が、男性にはどうがんばってもわからないのだと思う。

男性のまったく知らない場所で女性はモノを考えているんじゃないかな。

この本は、小池真理子の対談集。

面白くないわけがない。

小説が好き、は、その作家さんの心を覗きたいという好奇心につながる。

すぐに読むなんてもったいなくて、ずっと開かずにとっておいた。

あれ、でも、

司馬遼太郎の対談集なら、我慢できずにすぐ読んでしまう。

その違いはなんだろう・・・

そこも、

男性目線での、私にはまったく気づかない世界を明確に解き明かしてくれるという期待感。

小池真理子は、私の捉えようもない自分自身の内面、そのまた奥の無意識の部分を

映し出してくれることへの期待感かな。

自分の外と内の違いかも。

そんな読む前のドキドキ感もやっと落ち着き、ようやく小池真理子の対談集を開いてみた。

んー

期待ほどは、震えなかった(笑)

フムフム、サラーっと読んでしまった。

ちょっと残念。

『年齢に妥協せず、中年になっても、老年になっても恋をしましょ』と、言われても(笑)

しようと思ってするものでもないし、

そんなに都合よく私にぴったりの男性が天から降ってくることもなく、

それに・・・

恋って、

自分の心の中心に常に相手があることだと思うけど、

今の私では『私』の部分が強すぎて、

埋めてもらわなきゃいけないほどの『心の隙間』も『時間の隙間』もない。

寂しさや虚しさを感じる余裕すらない。

逆に、好きな人が出来た時に、寂しさや虚しさを感じるかも・・・

今は1人でうつろう時間が欲しいな。

年齢に妥協することなくと言うのも、

妥協したくない人はしなければいい。

無人島で自分ひとりであってもダイエットでもアンチエイジングでもすればいい。

自分が心地よいと思うことをすればよいのであって、

私は年齢に妥協します。ハイ。

「もういい加減他人の目から解放され、自分の心地よさ優先で生きようよ」と、かるーく妥協しちゃいます。

もちろん、ある日突然恋の魔法にかかって180度方向転換するかもしれないけど。

こればかりは、年齢とか条件とか常識とか、まったく関係のないことなので。

恋を怖れもしないし、待ちもしない、特別視もしない。

そういうもんじゃなくて、もっと自然まかせ。

なんなんだろうと思うけど・・・

この人無理!と、思う男性タレントさんがいた。

この人だけは生理的に絶対無理!と。

それが、

いつからなのか、

この人、いとおしいな・・・と気になるようになった。

私、この人好きだ

別な面を見たとか、そういう特別な何かがあったわけでもない。

なぜだろう、まったくわからないけど、いつの間にか180度変わってた。

タレントさんの方が変わったわけでなく、

私の感じ方の方が変わったんだろうね。

恋に落ちるかどうかって、相手より自分内部の意識下のところのことで、さっぱりわからない・・・

高樹のぶ子「せっかく小説を読んでも、男の人は自分の人生の足しにしよう、

参考にしようとするでしょう。

徳川家康」を呼んでビジネスの教訓を得る。みみっちいですよ。」

小池「やだやだ、そういうの(笑)。」

高樹「女の人が百人いたら百通りの人生があるけれども、

男の人が百人いてもせいぜい五通りぐらいの人生しかないんです。

本当に人生のバリエーションが少ないと思う。」

小池「女の人は、その百通りの人生を、まあ理解までしてもらわなくても、

共感してほしいとは思ってる。普通の男は共感してくれないから、女友達と共有し合う。」

高樹「女同士の方が、百通りの人生を理解してくれるからね。

男の人は、これこそが本当の生き方だという思いこみがあって、

そこから外れる者に対して非常に厳しい排他的な見方をしますね。」

小池「その点、社会の枠から外れた不良の男は想像力がありますよね。

ある程度、女にも共感してくれる。」

高樹「それは絶対あると思う。不良は、人間はこうあるべきというふうに、世の中を単純化してないからね。」

渡辺淳一「戦後、特にこの二、三十年ぐらい、フェミニズムの台頭とともに、

女性が経済力を持ち、自己主張するようになって、

そういう女性の文化に合わせていけるかどうかが重要な問題になってきた。

たとえば女性の話に合わせ、精神的に女性を心地よくさせ、

性的にも満足させうるか否かによって、男性が評価される時代になってきて、

そういう時の流れに合わせていける男と、いけない男が出てきた。」

小池「ある程度男性が女性に奉仕者として仕えるような形をとらないと、

性そのものが成り立たないっていう時代になってきたのは確かですね。

女性のほうでもそれが当たり前だと思ってるから、

奉仕してくれない男性との性関係は初めから面倒だと思ってしまう傾向がある。

とりあえずはポーズでも何でもいい、やさしくしてくれるとか、愛してくれると言ってくれるとか、

君はきれいだと言ってくれるとか。

そういうことを含めて、男性がサーバントにならざるを得ない。」

渡辺「昔の男は、俺はお前を養ってやってるんだ、といって威張っていればよかったけど、

いまや女性を精神的かつ肉体的に満たしてやれるか否かで男が選別されるされる時代になってきて、

それに洩れた男たちは、女性と触れることができなくなってきた。

たぶん、ヨーロッパの、少なくともフランス、イタリアのラテン系の国では、

昔からこの種の価値基準は生きていて、

だから男たちは女性への口説きのうまさや性的なテクニックを身につけようと努めてきた。

ところが日本はかなり遅れていたというか、不要だと思いこんでいた。」

小池「実はそうなのよね。もちろん相手があってこそ成立するわけだけども、

作家として書きたいと思うのは、相手がどういう人間なのかではなく、

相手と関わったヒロインの心の動きなんですね。」

唯川恵「わかります、わかります。恋する人間にとって、相手がどういう人間か、

は究極的には関係ない。

小池「恋っていうのは一つの幻想、非日常の中に生まれる幻のようなものだから。

恋に落ちているときは、「あっ、この人じゃなきゃだめだ」ってもちろん思っているけど、

終わってみると、「その前に恋した人とどういう違いがあったんだろう」って(笑)

唯川「例えば目の前の五人の男性がいて、その中に一人とつき合うことになったとしても、

ひょっとしたら別の男性を好きになっていたかもしれない。

誰を好きになるかなんて本当にわかんないことで、ものすごい理由があるわけでもない。

でも好きになったらそれが恋になってしまう。」

小池「そう。」

唯川「相手がAさんであろうとBさんであろうと。」

小池「恋なんて、一瞬、何か魔法をかけられたような状態になれば、

あとは気持ちが勝手に転がっていく。魔法が解けるまでは幸せの日々(笑)」

唯川「でもどんな魔法もいつかは必ず解ける。一生解けない魔法なんてない。」

小池「あり得ないですね。結婚生活なんて魔法が解けた段階から始めるわけだから、

とても妥当な、いい意味で非常に冷めた形の共同生活とも言えるわけです。

もっと言うと、その人とじゃなくても成立する可能性がある。

そういう心の綾というか、柔らかさは、女性のほうが多分に持ってますね。」