悠久の片隅

日々の記録

テューダー家

『THE TUDORS~背徳の王冠~』38話を一気にみた。

途中からけっこう面白かった。

英国国王ヘンリー8世の半生記。

16世紀のイングランドの雰囲気を味わえた感じがする。

ヘンリー8世がイングランド歴史物語の主人公になりうるわけも、私なりに感じられた。

歴史はいつの時も過渡期といえると思うけど、

この物語のタイトル『THE TUDORS』(テューダー朝)の時代は、ドラマティック。

毎日が、起きて食べて昼寝して・・・と、なんの諍いもないエデンの園は、ドラマにならない。

平和ではあっても、ドラマとしては退屈極まりなく、ドラマになりえない。

テューダー朝のドラマティックは、

平和で無いところからの~多少なりとも平和な時代への過渡期。

その過程で、凄惨きわまりない殺戮が繰り返され、国内が揺さぶられ、

ヘンリーの6人目の王妃のセリフ、

「これでは塔の窓から突き落としておいて、途中で止まれと言っているようなもの」に象徴される。

ヘンリーは、国王であり、神の代理人として、絶対権力を誇る。

カトリックが弾圧され、プロテスタントが弾圧され、しまいには、両方処刑・・・

国王ヘンリーが起こしたイングランド国教会は、よくいえば中庸。

カトリック寄りのプロテスタント

というか、

プロテスタントを齧ったカトリック

というか、

イギリス独自のキリスト教

本来カトリックならトップはローマ教皇で、国王であろうと教皇に従わなければならないのだけど、

ヘンリーは、カトリックから離脱、国教の長としても、国の王としても君臨、絶対権力者として座してしまった。

それに乗じて、

国王に媚び諂い権力を貪ろうとする野心家たちの陰謀が渦巻く。

国王を糧に、権力を握り、奢りたかぶった者たちの末路は、妬まれ、謀られ、処刑。

最初は斬首を恐ろしく思っていたけど、見ているうちに、斬首でヨカッタ。と思えてくる。

斬首は残酷だけど、あらゆる拷問の上に、火あぶりだの、吊るし首ののち、内臓をえぐって・・・・・うんぬん・・・

フランスのギロチンは、あまりに残酷な処刑を緩和するために作られたというのが、理解できる。

宮廷の華やかな日常の裏にはびこる、スキャンダラスな男女関係、

あるいは男性同士が絡み合い、

いったい、誰と誰が関係があるのだか、登場人物が多くて把握しきれない。

必ず1話ごとに挿入される激しい絡みのシーンでは、女優さんたちがあけっぴろげに裸体をさらす。

ベッドシーンと処刑シーンが日本のレベルの比でないので、精神がタフでないと疲れる。

それと、この時代のヨーロッパは、領土を取ったり取られたりと、常に戦争をしていて、

「同盟を結んであるじゃないか!」と文句を言ったところで、

「それは過去のこと」と、軽く覆されてしまう。

多分、地続きだと、そうなっちゃうんだ。

その為に縁組したり、組む必要が無くなれば破談にしたり、ヨーロッパ中が、皆遠い親戚でありながら牽制しあう。

敵と味方がコロコロ変わり、領土も増えたり、減ったりするからややこしい。

ヘンリーの6人の王妃の中で私は4番目の王妃アン・オブ・クレーヴズが好き。

即離婚させられちゃったけどね。

離婚後に、ヘンリーとカードをしている場面で「ん~♪」って、顎に指をあてる仕草の愛らしいこと!

ハスキーな声もかわいい。

最初は垢抜けなかったけど、あれだけ屈託ない人って、このドラマの中で他にいない。

この結婚を薦めた側近は、責任をとらされて斬首。

離婚したあとは、イングランドで皆に愛され気ままに暮らしたようなので、

それはそれで、王妃の中でいちばん幸せなんじゃないかと思ったり(笑)

ヘンリー8世は暴君ではあるけど、けっこう優れたところもあって、

処刑された側近や、王妃たちも最期に「国王を今でも愛しています。国王に幸あれ。」と処刑台で言う。

時代が、人間を作るんだろうなー。

現代にヘンリー8世が生まれたら、きっと教養と勇敢さを生かして立派な国王になったと思う。

女グセの悪さえなければだけどw