悠久の片隅

日々の記録

中国史の名君と宰相

知人に、何かオススメの本ある?と尋ねたところ

難しくないし、ふふふん♪って感じで読めると思うよ。と言われたのがこの一冊。

中国史の名君と宰相 (中公文庫)

中国史の名君と宰相 (中公文庫)

また中国に戻ってきてしまった(笑)

難しくないって言われたけど、人にはそれぞれレベルがある。

明治生まれの著者の文章は硬質で、

辞書を引いたり、前回読んだ中国史を引いたり、地図帳開げてみたりと、

噛み応え充分。

書物と言うのは筋肉と一緒で鍛えていないと、読めなくなっていってしまうので、

時にこうして堅い物読むのも、脳の筋肉?に良い刺激です。

堅いといっても、理論的な難しさでなく、文体の格調の高さからくるもので、

今の簡素になった日本語は楽なのだけど、味わいが薄れてしまいまってることに気付く。

この本の面白さは、世評では悪とされていた政策でも、実のところは優れていたり、

世評と異なる人物を取り上げているところ。


馮道(ふうどう)という後世に評判のよろしくない宰相の話で。

乱世の時代でしたので、君主が次々滅ぼされてしまう。

その度に馮道(ふうどう)は仕える君主を変えていく。

なんという変わり身の早さ!主君に義理も人情もないのかぃ?と、私など思ってしまいます。

現代は政権が変わっても、野党になってまた次を狙えますが、

昔は、政権が倒されればイコール『死』だったわけですから。

でも馮道(ふうどう)は君主に命を捧げない。

「国に忠」

思うに、中国における君臣観念は長い歴史の試練を経て、

日本人が漫然と考える以上に進化し複雑化してきている。

そもそも中国における天子なる者はつきつめて言えば、

人民に奉仕する者でなければならない。

臣下とはこの天子に奉仕する者だが、天子に奉仕する目的は結局人民に奉仕するにある。

そこでもし当時の天子が人民に奉仕することができなければ、

臣下は天子を抜きにして直接人民に奉仕することも許されなければならない。

馮道(ふうどう)が君に忠なりと言わず、君を抜きにして「国に忠」と言った意味は、

どうやらこの点にあるらしい。

なるほど。

この時代(西暦882年)に、このような進歩的な考えがすごいなー。

倫理に1本の道筋があれば、自分への世評など取るに足らぬものなのだと思う。

『人民に奉仕する者でなければいけない』

今の日本の政治家も、党への恩義や、つまらぬ義理、ましてや自分の風評などより、

何より国民に仕えるものとしての意識を高くもって欲しいものです。

国民の命とお金を預かるものとして、国民へというより

自分自身を裏切らない、まずは、そこでしょ。

自分を裏切らないというのは、有権者に対して媚をうらないという、

『自分がどうあるべきか』

非常に崇高な志しは、一朝一夕でなるものではないと思います。


で・・・

現代の政治は難しすぎて、私にはわかりません。

TPPなど、偉い人にも判断がつかないようなものを私ごときが考えてもわかるはずもなく。

医療の点で言えば、TPPに参加することで、

日本で認められていない何十種類ものガンなどの薬が使えるようになることを思えば、

待っている人にとってはどれほどの朗報かと。

これは他人事ではない。いつ我が身、我が家族の身に起こるともわからない命の切実な願いに思う。

ただ、それもお金があってのことで、

安全面で質が落ちることも含めて考えていかなくてはいけないのだけれど。

アメリカの医療が入るということは、ERを見ていて思うけど、

とてもとても厄介なこと。

せっかく良い治療法があるとしても、個人負担で何十万、何百万の医療費が請求されることにもなりかねない。

なので、各自で民間の医療保険に入るようになるのだけど、

「この検査はその保険で賄えるとか賄えないとか」「その検査は必要とか必要でない」とか、

現場で医者と保険会社の、そんなやり取りも多々出てくるし、そんなことやってる間に患者は死ぬし。

入っている保険(お金の有る無し)によって、受けられる治療が変わってくる。

それを思うと、

今の日本の国民保険制度がいかに良く出来ているか、気付かされる。

保険だけでなく日本の制度というのは社会主義気味だけど、かなり堅く良く出来てると思う。

アメリカは今オバマさんが国民皆保険の導入を頑張っているけど、

国民は、賛成と反対が半々らしい。

貧困層が多く、富裕層がそこまで面倒みたくないというのが本音。

ユダヤ人いわく

「資本主義は、賢いものが儲ける仕組みになっている」と、ハッキリしているから、

小さい頃から猛勉強をしている。

それはユダヤ人が、何千年にもわたって、自国の領土を失い、自国の貨幣も無く、

そんな中で、智恵だけは誰からも奪われることはないという民族の悲しい性に思うけど、

お陰でユダヤ人は優秀で、ノーベル賞受賞者も多く、アメリカでも要所を担ってる。

だからアメリカはイスラエルを支援しなければ、選挙に勝てないという、

社会の仕組みも全然違うから、国民皆保険もなかなか難しい。

ともかく、保険制度だけの話だけで無しに、日本はピストルを持つ必要もない。

円高は痛いが、中から見れば末期的な日本でも、世界においては日本がいかに安定しているか、

それが円が買われていることでもあるし。

日本はいい国なんだなー。

この安定した社会制度がTPP導入されれば、不安定な国に合わせなければならない。

それを思うとTPPは不安だけど、

世界は生き物で、その流動性の中で、変えてゆくもの、変えてはいけないもの、

政治家であるならば、日本人の命と財産を預かるものとして、

しっかり見極めていって欲しいと思います。