ゲーテさん こんばんは
- 作者: 池内紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/18
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ゲーテは『あご間骨』という、
動物にはあって、人間には無いとされていた骨の存在を、人間の顎に見つけた。
これは大変なことで、
人間が、つまり猿と同じということになってしまう大大大発見だった。
ゲーテ(1749~1832)
ダーウィン(1809~1882)
ダーウィンの種の起源より先に、ゲーテは同じような考えに至っていたということかな。
だけど、ゲーテの『あご間骨』発見は、あっさり握りつぶされてしまった。
やはりこの時代、宗教的に人と猿が同じ起源であることは、あってはならぬことだったかと思う。
ところが、ゲーテくん、
握りつぶされたことは、まぁいいとした。
そんなことの為に、頭蓋骨眺めていたわけではない。
ゲーテって、詩人としか知らなかったけど、
色んなことしてたんだなー。
今は効率がよいように、専門が分かれているけど、
昔は、今のように細分化されてない。
なんで?なんで?と考えていくと、1つの物事でも多方に渡っての知識が必要となり、
多方を学ぶことで、また視野が広がる。
ips細胞も医学的な見地だけでは成功は無かったという。
工学的な実験の方法で成功が導き出せたという話を聞いた。
ゲーテは頭蓋骨を眺めていて、
誰もが、同じ場所に、同じ骨を、同じ数だけもっている。
なのに、同じ顔は1つとしてない。
この多様さはいったいどこからくるのだろうか?
そこに疑問をもった。
そして人骨以外も調べ、
牛に何故角があるかを突き止めた。
「牛は角をもつから突くのではない。」
ライオンや犬のように、牙をもたず、歯も少ないから、形態変化を促し、角をもつようになったにすぎない。
上あごに牙をもつ動物で、角を持つものはいない。
歯も揃ってます。角もあります。なんて余力は自然はそなえていない。
キリンは首が伸びた、
モグラは首が縮んで、胴体だけになった。
もともと『原器官』があって、形を変えていく。
でもそこには限界があって、代償作用の法則で許す範囲でのこと。
変化は骨の構造全体によって制約されているが、
同時に骨の部分が骨格全体の変化をも制約する。
部分が相互に関係し合って、どの部分も他の部分によって存在している。
なんだか、ダーウィンみたい・・・・・
骨学を元に、ゲーテはその後植物学へ。
植物を研究する際、
人間が優位に立ち、人間の観点でみていることを人間の支配とし、
それまでの植物学に警鐘を鳴らす。
ゲーテは名称にXやYを使った。
これを読むと、ゲーテーなら優性遺伝や劣勢遺伝などという語彙は使わなかったように感じる。
隣国フランスではフランス革命で血が流されている時、
ゲーテは、庭で植物のゆっくりした変化を、主観を除き、じっと観察していた。
成すことより、探求することが美しい。
ゲーテの最後の詩。
戸口を掃除しよう
すると町はきれいだ
宿題をちゃんとしよう
するとすべて安心だ