悠久の片隅

日々の記録

世界地図の読み方

最新・世界地図の読み方 (講談社現代新書)

最新・世界地図の読み方 (講談社現代新書)

日本が何故『極東』と言うかというと、イギリスを中心に見ているからだそうで、

なるほど、

イギリスは昔、インドを植民地としていたから、東といえばその辺りで、

そこから考えれば日本は極東。

中東というのも、イギリスからの視点で中くらいの東ってことで、

中近東も中東よりもうちょっと近いってことだそうだ。

でもこれは国際情勢であって、

地理的には、イラン、イラク西アジア

サッカーで同じアジアのグループ。

ウズベキスタンタジキスタンあたりが中央アジア、インドが南アジア。

どの国も独自の世界地図があって、それぞれの国の思惑が表れている。

視点が変わることで、世界が違ってみえる。

私も持ってるけど、オーストラリアではこんな地図も売っている。

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いつも上にいる者には気がつかない。

常にアンダーとされている南半球ならではの発想、「南が上だっていいじゃない♪」

オーストラリアでも実際に使っているわけではないけど、

ダウンアンダー(オーストラリア)からのアイロニーかな。


アメリカの世界地図。右にヨーロッパ、アフリカ、左にアジアを従え、中央に君臨するイメージ。

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アメリカ人の頭の中にはこの世界地図が入っています。

ジョージ・W・ブッシュ前大統領が頭の中で世界地図を思い浮かべていたとすれば、

それはこの地図です。

もう一度ご覧下さい、アフガニスタンのあたりは地図の端に位置しているでしょう。

これではこのあたりのことがよくわからない。

よくわからないのに戦争を始めてしまったのではないでしょうか。

その背景にあるのは、アメリカだけが「正義」を持っているという発想なのです。

アメリカは「世界に民主主義を広める」という「善意」の「使命」があるつもりなのです。

しかしそれは、世界で何が悪いことで何がいいことかはアメリカが決める、という傲慢さにほかなりません。

私は高校生のとき、新聞に掲載された1枚の写真を見て「ベトナムでアメリカは勝てない」と思いました。

それは稲穂が実った田んぼをアメリカ軍の戦車が走っている写真でした。

稲穂は無残に倒され、戦車のわだちが田んぼにくっきりと残されていました。

「このアメリカ人たちには、コメを大切にするアジア人の思いが理解できていない」と

私は感じたのです。

その思いがわからない限り、いくら軍隊を送り込んだとしても、現地の人々の支持を

得られるわけがありません。

ベトナムに民主主義をもたらそうとしたアメリカは、結局、ベトナム戦争に「敗戦」しました。

ベトナムの二の舞になると心配されているアフガニスタン、そしてイラクの状況を見ていると、

アメリカはベトナムでの教訓を何も学んでいないとしか思えません。

そもそもアメリカがイラクに攻め込んだのは、「大量破壊兵器を保有する危険な国家」であるためでしたが、

いざ大量破壊兵器が見つからないとなると、「イラクに民主主義をもたらすため」と理由を変更しました。

ああ、このご都合主義!

池上氏の声が届いたわけではないと思うけど、

アメリカも流石に自分たちに欠けているものがみえてきたらしく、

これからは現地の人の感情、言語を理解した上での戦術をやっていこうという声が、今陸軍から出てきているらしい。

それは大いに結構と思うけど、

自分たちの思想で世界をコントロールすることが世界の平和と思っている人たちが、

自分たちが変わらなければ世界は変わらないというとこまで、転換できるのかな。

自分を変えるといっても、

自分に置き換えて考えてみても難しい。

影響を受けるのは簡単だけど、影響から抜け出すことは容易ではない。

アメリカの1年の軍事費用55兆円。

ほかの軍事費世界2位~15位までの国の軍事費全部足したものより多い。

軍事力が生命線のアメリカ。

アメリカの政府高官には、軍需産業のお偉いさんが、

軍需産業のお偉いさんには、政府高官が。っていうことが、どこかおかしいとは思わないのかな。


中国が核を開発した当時、中国とソ連が一触即発、核戦争になるかという時に、

毛沢東はこんなことを言ったという。

ソ連との核戦争をわれわれは恐れていない、中国には8億人(当時)の人口がいる、

ソ連との核戦争でたとえ5億人死んでも、まだ3億人残るから、大丈夫」

これは冗談なのか、本気なのか、

どちらにしても、国民は国家のものでしかない。


ほかの国の違和感は見えるけど、

日本だって、いまだアメリカの呪縛から解けてない。

そしてそのことが自分たちには見えないのが怖いのだと思う。