冬眠
5時過ぎに仕事が終わった。
外は真っ暗。空には満天の星。
さっむーい!冬到来を思わせる寒さ。
星がこんなにきれいなのは、急激な冷え込みのせいだね。
台風が去った朝、立山には雪が降った。
地震、噴火、台風、雪。日本の自然の変化はめまぐるしい。
台風19号がきた日の3時半頃、仕事を終えて、ひとりを家まで送っていった。
その頃にはもう雨も上がっていたけど、
海沿いに住むその人がバイトに行く時間には、波が防波堤を越えて道路まで押し寄せていたという。
その人を降ろしての帰り道、
海沿いの道は車1台走っていなくて、
もし今私が車ごと波にさらわれても誰も気がつかなくて・・・
なんて考えていたら、
漆黒の闇の先に広がる日本海が、余計に恐ろしく感じた。
翌日になって発見され「同僚を送った帰り道、波にさらわれたもようです。」
って、私の一生が一瞬のニュースで片付けられてしまうんだろうな・・・
なんて考えて、ふと気づくと、ここはどこ?
真っ暗だし、ナビつけ忘れていて、道がわからなくなって、余計怖くなった。
ナビをつけ自分の居場所を確認すると、周りの景色がわからなくても安心した。
ナビって・・・
すごい。
引っ越してきて、
生活に一番役立っているのが、車とスマホのナビ。
ナビがなかったら、相当に不便な生活していると思う。
その代わり、
ナビのお陰で、ちっとも方向感覚をつかめていない。
小さな地図を見て進むだけの日々で、巣へ帰るという動物の本能が失われてしまっている。
誰かが利口になってナビを発明する分、使う私はバカになるという法則・・・
バイトは、
扶養控除外れて、働くことにした。
最初は超えると、主人の会社から出ている配偶者手当10万円を返さないといけないからやだなー
と、思った。
そのつもりで、シフトもめいっぱい減らしてもらって、この1ヶ月のんびりしていた。
ほとんど働いていない気分。
なんだけど、それでも10万円程度にはなっていたので、
それなら働いてしまえー!と思ったら、
配偶者手当は10万円どころじゃないことに気がついた。
10万円は、親の手当て。長男の場合、親の手当てが出るらしい。
長男って・・・やけに封建的な会社なことにも驚いたけど。
で、10万円なら返しても働くつもりでいたけど、
配偶者手当はそれどころじゃないので、今から年末まで働いても、
働いた分、ほとんど返金するようになるし、
それなら働かないほうが、いい。
年内は休業に、しようと思って、
このところほとんど働かず、の~んびりしていたんだけど、
その分のしわ寄せで、
他の人が死にそうになってる・・・
私ひとりがいないことで、休みも全然とれていないし、
みんな日増しに疲労の色が濃くなっているのが、目に見えてわかる。
「私・・・5万なら払いますよ」と、女性の社員さんに言われた。
「10万はきついけど、5万なら・・・」と。
えっ・・・?何言ってるの?ポケットマネーで5万出してくれるというの?
そんなのありえないし・・・
「だからね、それほど藤子さんにいて欲しいんですって。わかります?」
いや、わかるけど。
わかりすぎるほど、わかるし、私だって働きたくないわけじゃないんだけど。
いや、働き始めた頃は辞めたかった・・・
今だって、仕事始める前はお腹痛くなるくらい、嫌だけど。
だけど、
みんな倒れそうに働いていて、
私、ひとりのんびりしていて、その心苦しさ半端ない。
わかっていて見ないふりをし年内この心苦しさを抱えているのは無理。と自分でも思ってはいた。
主人は、そこまでして働くことはないと言うし、それは当たり前だけど。
主人だって私が夜中働くよりは、家にいて欲しいのが本音に思う。
そうしたら、
とうとう「時給を大幅アップして対応するので、働いてもらえないか」と乞われ、
もう損とか得とかお金のことで思い悩むのが面倒になった。
私が働くことで、
私のバイト先も助かる。
主人の会社も扶養手当を出さないですむ。
主人にはお小遣いを値上げということで了承してもらう。
それで私が働けばすむ話。
考えてみればそれだけのこと。
三浦綾子の銃口という小説の中の「迷った時は困難な方を選ぶといい」の言葉が
力強く後押ししてくれる。
ということで、
年内、身を粉にして働きます(笑)
なんのため?
とか考えると、なんでかねぇ・・・
物事にあまり逆らうことなく、かなあ。
成り行き・・・としか(笑)
『降りかかる火の粉』も、あとになれば『雪の結晶』かもしれない♪
昨日まで声がしていたカエルが今日はいない。
この寒さで冬眠に入ったかな。
うらやましいー。
私の冬眠は1ヶ月ほどで終わった。
でも十分に身体も心も休めた。冬眠も大切ね。